脳出血 共同偏視 まとめ
意識障害の患者さんを診たときに、共同偏視といって両目が右を向いていたり、左を向いていたりすることがあります。つい先日、右の共同偏視がでている患者さんを診察しました。脳出血を起こしている可能性が高いということは分かりましたが、どこの出血が起きているのか分かりませんでした。他に左半身の麻痺もみられました。今回は、日々の診療に役立つように共同偏視についてまとめてみました。
教科書は、脳出血の分類ごとにまとめていることが多いので、意識障害の患者さんを診察している状況を想定して考えてみます。
1.左右の共同偏視
意識障害の患者さんに、右の共同偏視があったとします。
左右どちらかを向いてしまうのは、被殻出血か小脳出血をしているのではないかと考えます。次に診るのは、運動障害や感覚障害の有無です。左片麻痺があれば右被殻出血をしている可能性が高くなります。意識障害の程度が軽く、運動失調(この場合、左)、めまいや頭痛の症状が強く出ている場合は、左小脳出血を考えます。
2.内下方の共同偏視
意識障害があって、内下方の共同偏視が出ている場合は、視床出血が考えられます。左片麻痺があれば右視床出血となります。
3.正中位
意識障害があって、眼はまっすぐ見ているけれども、著しい縮瞳と四肢麻痺がみられる場合は、脳幹出血 (橋出血) を起こしている可能性があります。呼吸障害がでて急激に悪くなりやすいので注意が必要です。
意識障害があればすぐにCT検査ができる時代ですが、身体所見だけである程度診断がつけられると初期対応がスムーズになると思います。忘れてしまったというときは、ぜひこのページを参考に診断してみてください。
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