食道カンジダ (内視鏡所見、治療、注意点まとめ)

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食道カンジダ (内視鏡所見、治療、注意点まとめ)

 

内視鏡検査をしているとたまに見かけます。内視鏡検査を行った方の1%にみられる病気と言われています。なんの症状もない方から、飲み込みづらい、痛み、胸やけ、吐き気などの症状が出る方がいます。症状がない方は経過観察でかまいませんが、症状がでている方は治療しましょう。また、食道炎を伴っている場合(粘膜の充血・浮腫、潰瘍)も治療対象になります。

1.内視鏡所見

内視鏡検査をしないと分からない病気です。内視鏡検査では、「白苔」と呼ばれる、白色の付着物がみられます。医師国家試験対策の教科書では、「偽膜」と呼ぶようです(イヤーノート 第33版 A-34 ページ)。白苔は、食物残渣と異なり水洗しても落ちづらいのが特徴です。白苔は、食道全体にみられ、縦列状にみられることもあります。

内視鏡所見記載時のキーワード:白苔、白色付着物、びまん性、縦列状、食道炎の有無(粘膜の充血・浮腫・潰瘍)、食道狭窄の有無

2.治療

食道カンジダを見つけ治療が必要な患者さんに遭遇する頻度はあまりないので、処方薬を出す機会は非常に少ないです。いざ治療が必要というときにどのような処方をすればよいか自分のためにまとめてみました。みなさんも参考にしてください。

どの抗真菌薬も内服薬は適応があるようですが、フルコナゾール、イトラコナゾールの内服が第一選択薬となっています。イトラコナゾールとミコナゾールは、口腔内カンジダ・食道カンジダ用に内用液、ゲル経口剤があります。

 

  • フルコナゾール (商品名:ジフルカン)

カプセル 50 mg・100 mg:50~100 mg分1 を14~21日間投与

  • イトラコナゾール(商品名:イトリゾール)

内用液1% (10 mg/ml):20 ml (200 mg) 分1(空腹時)を 14~21 日間投与

  • ミコナゾール(商品名:フロリード)

ゲル経口用 2% 5 g:1日10~20 g分4 (毎食後、就寝前)を14日間

 

フルコナゾールは、副作用が少なく使いやすいようです。イトラコナゾールは、胃腸障害が出ることがあります。併用禁忌薬、併用注意薬はイトラコナゾールより少ないようですが、たくさんあるので注意が必要です。併用禁忌薬を一般名と商品名でまとめて表にしました。参考にしてください。高血圧、不整脈、脂質異常症、統合失調症、C型肝炎、片頭痛、不眠症、癌の患者さんは併用禁忌、併用注意の薬を内服している可能性があります。添付文章を読み注意して使用してください。

フルコナゾール 併用禁忌 商品名

フルコナゾール 併用禁忌 一般名

3.注意すること

内視鏡検査で何気なく発見することがある食道カンジダですが、免疫力が低下している方がなりやすい病気です。背景に、癌、糖尿病、肝硬変、腎不全、膠原病、HIV感染症が隠れていないか確認する必要があります。また、ステロイド内服・吸入、胃酸分泌抑制薬が関係している場合もあります。内服薬のチェックをしましょう。

プロフィール
Dr.Ryo

40代外科医です。12年間大学病院で消化器外科医を務め、現在は市中病院で一般外科医として勤務しています。趣味は、筋トレと海水魚飼育。日頃疑問に思った医療記事を主に投稿していこうと考えていますが、趣味などにも触れていこうと思っています。どうぞよろしくお願いします。

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